この間、市の連絡会で27年度家庭介護での虐待の傾向という話が出た。
施設での虐待はニュースになって目に付きやすいが、実は、家庭での高齢者虐待のほうが数が多い。
家庭内の虐待はニュースにならないから目に付かないだけ。
高齢者虐待は施設より家庭内が100倍多い
平成24年度の高齢者への虐待に関する調査によれば、施設内での高齢者虐待は155件。
一方、在宅で虐待と判断されたのは1万5202件。
比較すると家庭内の虐待のほうが施設での高齢者虐待の約100倍。
3人に1人以上が介護する高齢者に“憎しみ”を感じる
日本労働組合連合会が1994年に実施した「要介護者を抱える家族」についての実態調査というのがある。
この調査結果によると、3人に1人以上が“憎しみ”をいつも感じるかときどき感じている。
介護老人に対する憎しみを感じる率は義理の娘、妻、娘の順でその率が高い。
また、オムツの交換や食事などの世話の放棄、暴力、暴言などの虐待は全くないとするのは半数弱に過ぎない。
といっても、意外なことに女性の介護者が介護する高齢者に深刻な虐待を加えている例は、息子が介護者である場合に比べて少ない。
高齢者虐待の現状
平成24年度の高齢者への虐待に関する調査では、以下の傾向が調査結果として出ている。
- 高齢者に認知症がある場合に虐待の深刻度が重くなる。
- 虐待を受けている高齢者の年齢は75歳以上85歳未満が最も多い。
- 虐待を受けている高齢者の性別は女性が76.2%、男性23.6%。
- 最も多いのは息子からの虐待(41.6%)。
- 2人だけで暮らしている場合が特に危ない。
- 介護者が40~59歳の働き盛りの年齢が多い。
要するに、息子が高齢者の母親を虐待するケースが多いということだ。
ちなみに管理人の暮す市でも、本年度の虐待ケースのほとんどが、認知症の母親に対する息子の虐待。
娘や嫁は介護する高齢者に対して憎しみを感じても、それでも我慢してそれなりに介護するが、かわいがられて育った息子は介護には向かないようだ。
まあ、虐待を受ける高齢の母としては「死ぬまで最愛の息子と二人で幸せだった」のかもしれないけど。
母の認知症を認めない息子たち
どうも、息子たちにとって、母親の認知症を認められないようだ。
例えば、こんな例↓
「数年前から、『財布が無い。(嫁に)どこに置いた?』など時々おかしなことを言うことがあった。
娘と嫁は『認知症かもしれない。病院にいったほうがいい。』といったが、息子は『認知症ではない、年齢が年齢だから勘違いしただけだ。病院なんかまだ早い』と専門病院に受診させなかった。
最近になって、『貸した本を返してもらいにいってくる』と近所のお宅に何度も言ったり、『財布を取られた』と騒いだり、『病院にいく日だ』と毎日騒ぎ立てたりするようになった。
息子も手に負えなくなり、地域包括支援センターに相談の電話をした。』
まったく、早ければ、薬も効いたかもしれないものを。
ここまでくると、薬を飲んでもあまり効果が出ないかもしれない。
おいらとしては、自宅へ訪問し様子を見てから、家族へ普段かかっている病院の神経内科(認知症の診断ができる)にできるだけ早く受診させるよう進言した。
受診の結果、アルツハイマー型認知症と診断を受けて内服開始。
介護保険の申請の運びとなった。
この例の場合、介護者が娘や妻なのでまだしも、もし、息子一人だったら、相談もされず、介護もできず虐待につながったケースだと思う。
「どうせ認知症は治らないんだから」と病院へかけず、介護する妻のストレスも「話だけして解決策が出ない相談窓口なんか意味ない」と相談にも行かせず、母親の認知症は手に負えなくなり、妻には離婚され。
なんてケースもある。
世の息子諸君、自分の考えで決めつけずに専門機関に相談しようね。
専門機関の言うこともきちんと聞こうね。
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